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遺留分の放棄にメリットはある? 放棄する方法や相続放棄との違い

2024年07月25日
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遺留分の放棄にメリットはある? 放棄する方法や相続放棄との違い

遺留分とは、相続人(兄弟姉妹以外)に保障された最低限の遺産を相続する権利です。令和5年度の司法統計によると、鹿児島地裁管轄では3件の遺留分の放棄の許可決定がなされています。

遺留分放棄は、相続による争い(=争族)回避や、特定の相続人に会社を継がせる(=事業承継)ために用いられることがあります。ただし、遺留分放棄をすると基本的には撤回できないため、放棄する前には、メリット・デメリットをよく確認しておくことが重要です。

今回は、遺留分の基礎知識から、遺留分を放棄するメリット・デメリットについて、ベリーベスト法律事務所 鹿児島オフィスの弁護士が解説します。


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1、遺留分は放棄できる? 相続放棄との違いは?

遺留分も相続放棄と同じように放棄することができます

ここでは、そもそも遺留分とは何か、遺留分放棄とはどのような行為なのか、相続放棄との違いなど、基本的な知識について解説します。

  1. (1)遺留分とは?

    兄弟姉妹以外の相続人(配偶者と子または直系尊属)には、法定相続分の一部割合が遺留分として認められ、遺産について一定割合での価値を保持することが保障されています。この利益を遺留分といいます。

    たとえば、「長男にすべての遺産を相続する」という内容の遺言が見つかったとしましょう。しかし、これでは他の相続人にとっては不平等な相続です。そこで、他の相続人にも相続する権利を認め、一定の割合での相続を認めるのが遺留分という制度です。

  2. (2)遺留分放棄とは?

    遺留分を放棄するとは、最低限の遺産を相続する権利を、自分の意思で手放すということです。たとえば、相続に関わりたくない場合や、親族間の争い防止として選択するケースがあります。

    ただし、遺留分は放棄しても、相続人としての権利が残る点には注意が必要です。具体的には、放棄した遺留分以上の財産が残された場合や、借金などの負債がある場合、相続の可能性はあるということです。

    遺留分と相続放棄の違いは、次項の一覧で詳しく解説します。

  3. (3)相続放棄との違い

    相続放棄は、相続人としての地位を捨て、遺産を一切相続しないという意思表示のことをいいます。相続放棄は、家庭裁判所に書面で相続開始から3か月以内に行う必要があります。

    遺留分放棄と相続放棄の違いを下記の表で確認してみましょう。

    遺留分放棄 相続放棄
    放棄する対象 遺留分侵害額請求権 相続権
    相続人としての地位 残る 残らない
    遺産分割協議 参加できる・する 参加できない・しない
    遺産の相続 遺留分以上の遺産があればする しない
    借金の相続 借金があればする しない
    代襲相続 できる できない
    他の相続人への影響 なし
    ※他の相続人の遺留分は増えない
    あり
    ※他の相続人の相続分が増える
    相続前の放棄 家庭裁判所の許可が必要 できない
    相続後の放棄 期限はなし 家庭裁判所で3か月以内に手続きが必要

2、遺留分放棄をするメリット・デメリット

遺留分を放棄するとどのようなメリット・デメリットがあるのか、確認しておきましょう。

  1. (1)遺留分放棄をするメリット

    遺留分を放棄するメリットとして、主に2つあります。

    ・遺産分割を円滑に進めることができる
    遺産分割は、遺言がない場合には、相続人全員の意思に基づいて、誰がどの財産をどれだけ相続するか、自由に決定することができます。

    このとき、遺留分があると自由な決定を阻害する可能性があります。たとえば、家業があり、その事業に関連する相続財産がある場合には、家業を継ぐ人が相続した方が良い場合があります。しかし、遺留分があると、誰か一人に集中して遺産を集めることが難しくなるおそれがあります。

    そのため、相続を円滑に進めるために、遺留分放棄が求められるケースがあります。

    ・事前に親族間のトラブルを防止できる
    遺言があったとしても、その内容によっては、遺留分を侵害してしまい、予期せぬトラブルに発展してしまうことがあります。

    たとえば、遺言作成時には財産の分割内容に同意したつもりだったが、いざ相続が開始されると、分割の内容に不満を言い出すなどのケースです。このようなトラブル防止策として、相続開始前に遺留分を放棄しておくことがあります。
  2. (2)遺留分放棄をするデメリット

    遺留分放棄の手続きをすると、原則として撤回することができません

    そのため、遺留分の放棄は慎重に検討する必要があります。放棄しようと思っているときには、「生活に困っていないし、遺産は必要ない」と考えていても、いざ相続が開始され、状況が変化すると、遺産が必要となるケースも少なくありません。

    また、代襲相続した場合も遺留分の放棄が有効であり、遺留分の請求ができません。代襲相続とは、本来相続人になるはずだった人が相続開始以前に死亡していたり、一定の事由により相続権を失ったりした場合に、その代わりとして下の世代の人が相続人になる制度のことをいいます。

    たとえば、遺留分の放棄をした後に自分が死亡し、子どもが遺留分を欲しがったとしても遺留分の請求はできません。そのため、将来のことを考えて、放棄を決める必要があります。

    少しでも不安があれば、弁護士に相談して、どのような方法がベストかよく考えてみましょう

3、遺留分を放棄する方法

遺留分の放棄は、相続開始前であっても開始後であっても可能です。しかし、遺留分を放棄する方法は、被相続人の生前と死後で異なります。確認しておきましょう。

  1. (1)被相続人の生前|相続開始前

    被相続人の生前、つまり相続が開始される前に遺留分を放棄する場合、家庭裁判所で手続きを行います。遺留分は、相続人に認められる重要な権利なため、被相続人や他の共同相続人からの圧迫により遺留分権利者が遺留分権をあらかじめ放棄するよう強要されることがないよう、裁判所が確認した上で許可する必要があるからです。

    手続きのためには、申立書や財産目録、戸籍謄本、全部事項証明書などが必要です。申立書は、裁判所のホームページでダウンロードできます。

    裁判所に必要書類を提出すると、審問という遺留分放棄の確認手続きがあります。

    この審問では、裁判官が以下の項目を確認します。

    • ① 遺留分放棄が申立人の意思によるものか
    • ② 遺留分放棄に合理性があるか
    • ③ 遺留分放棄の代償となる利益があるか


    これらの回答により、遺留分の放棄を許可するか、判断されます。返答に問題がなければ、遺留分放棄の許可決定がなされます。その後、遺留分放棄の証明書が発行され、正式に手続きが完了します。

  2. (2)被相続人の死後|相続開始後

    相続開始後に遺留分を放棄したい場合には、裁判所の許可や手続きは必要ありません。

    遺留分は、侵害されたとしても必ず請求しなければならない性質のものではありません。あくまで、最低限の相続を法律が保障しているため必要に応じて権利が主張できるということになっているのです。

    そのため、侵害されていたとしても請求しなければ実質的に放棄したことと同じ意味を持ちます。

    もっとも、明確に放棄が必要な場合には、後から放棄した、してないといった問題が起こらないように書面で残すようにしましょう

4、遺留分放棄の注意点

ここまで遺留分の基礎知識や方法について確認してきましたが、放棄する際に注意しなければならない点を改めて確認しておきましょう。

  1. (1)借金などの負債は放棄できない

    遺留分放棄は、相続財産の最低限の保障を放棄するものです。そのため、相続放棄とは異なり、借金などの負債を放棄することはできません。

    したがって、借金などの負債を回避するためには、遺留分放棄だけでなく、相続放棄の手続きも必要になります。相続放棄には期限があり、相続開始から3か月以内に家庭裁判所に書類を提出しなければなりません。そのため、相続財産の中に借金などの負債が見つかった場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)代償の贈与で遺留分侵害を発生させるリスクがある

    遺留分放棄の代償として、贈与が行われることがあります。遺産分割で揉めないように、遺産の一部を渡し、遺留分放棄してもらうというケースです。しかし、このような行為が返ってトラブルの原因となることがあります。

    たとえば、土地などの不動産を贈与した場合、市場の変動によって、贈与額が高額になってしまうことがあります。そのため、意図せず他の相続人の遺留分を侵害してしまうおそれがあります。

    遺留分放棄を検討する際には、他の相続人の遺留分を侵害しないかどうかも慎重に考えなければなりません。

  3. (3)遺留分放棄をしても他の相続人の遺留分が増えるわけではない

    遺留分放棄を行うと、他の相続人がもらえる遺産が増えるように思うかもしれません。しかし、遺留分放棄をしても、他の相続人のもらえる遺産が増えたり、遺留分が増えたりすることはありません。

    遺産分配の対応について不安な場合は、まずは弁護士に相談することが得策といえます

5、まとめ

遺留分とは、兄弟姉妹を除く相続人に認められた権利であり、権利を放棄する際には慎重に考えることが大切です。遺留分放棄すると、基本的には撤回をすることはできず、後から遺産が必要となっても取り戻すことは困難です。また、相続放棄とは異なり、ローンなどの負債を放棄できるわけではありません。そのため、遺留分放棄することに不安を感じている場合には、まずは弁護士に相談してから手続きすることをおすすめします

ベリーベスト法律事務所 鹿児島オフィスでは、相続・遺産問題の解決実績がある弁護士が在籍しています。お一人おひとりの事情に合わせて最適なアドバイスをいたしますので、遺産相続・遺留分でお悩みの場合には、まずはお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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