死亡した親から借金していた場合、誰に返せば良い?

2026年03月11日
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死亡した親から借金していた場合、誰に返せば良い?

自宅の購入や結婚資金・子どもの教育費用など、さまざまな理由で親から借金をするケースがあります。もし、返済が完了する前に親が亡くなってしまった場合、借金の返済義務はどうなるでしょうか。

これらの債務は借金をした子どもが単独で相続をすると消滅しますが、子ども以外の相続人がいる場合は返済義務が残ります。また、親子間でお金の貸し借りをしていた場合、相続手続きに影響する可能性があるため注意が必要です。

ベリーベスト法律事務所 鹿児島オフィスの弁護士が解説します。


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1、死亡した親から借金していた場合の取り扱いとは?

親から借金をしていて、その親が死亡した場合、借金はどのように取り扱われるのでしょうか? 以下では、親が亡くなって相続が発生した際の基本的な借金の取り扱いについて解説していきます。

  1. (1)親の債権が相続人に相続される

    親が死亡すると、原則として親の財産や権利義務はすべて相続人に引き継がれます。預貯金や不動産などの財産だけでなく、貸しているお金(債権)も同様です。

    親が「子どもにお金を貸していた」という事実がある場合、その債権は相続人に引き継がれます。したがって、相続人はその債権をもとに、借金をした子どもに対して返済を求めることが可能です。

    親が亡くなった場合でも、自動的に借金がなくなるわけではありません。相続が開始した際は、親の相続人となるのは誰か、また誰に返済すべきかをよく確認する必要があります。

  2. (2)借金をした子が相続人になる場合、債権・債務は混同により消滅する

    親から借金をしていた子ども自身が相続人になる場合、債権や債務は「混同」により消滅する可能性があります

    混同とは、同一人物が債権者かつ債務者となった場合に、債権を消滅させるものです。例えば、今回のように、債務者が債権者を相続したような場合がこれにあたります。

    このような場合に債権と債務を存続させておくことは、あたかも自分が自分に弁済することになり無意味であるため、債権を消滅させることにしたのです。混同が成立すると、親からの借金は消滅し帳消しになります。

    ただし、混同によって借金が全額消滅するのは、借金をした子どもが単独で相続する場合に限られるため注意が必要です

  3. (3)相続人が複数いる場合は、返済義務が残る

    相続人が複数いる場合、親の貸金債権等の金銭債権は、遺産分割の手続きを待つまでもなく、法律上当然に各共同相続人全員に相続分に応じて帰属します。この場合、親の相続人が「債権者」となり、借金をしていた子どもは相続人に対して借金の返済義務を負います。

    また、債権は相続財産として扱われ、相続税の課税対象となる可能性があるため、債権を相続した相続人は余計に納税しなければならない可能性があります。

    債権や債務の相続はトラブルになりやすい問題であるため、悩んだときには早めに弁護士への相談を検討しましょう

2、親からの借金は子への贈与とみなされる可能性もある?

親からの借金は、状況によっては子どもへの「贈与」とみなされ、贈与税の課税対象となる可能性があります。親からの借金が贈与とみなされるケースについて、以下で具体的に確認していきましょう。

  1. (1)無利子の借金は利子相当額の贈与とみなされる可能性がある

    親から無利子で借金していた場合、利子相当額が贈与とみなされる可能性があります

    通常であれば、お金の貸し借りには利息が発生します。しかし、親子間で借金をする場合、利息を設定することなく返済するケースも多いでしょう。

    このようなケースでは、親から借金をした子どもは利子相当額を贈与したとみなされ、贈与税の課税対象となります。

    しかし、生前贈与には非課税枠があり、年間110万円までは贈与税がかかりません。そのため、返済した借金の利子相当額が年間110万円以下であれば贈与税は非課税となります。

  2. (2)全額が贈与とみなされる可能性もある

    親から借金していたと主張していても実際に返済した履歴がない場合、全額が贈与としてみなされる可能性もあります。

    親からお金を借りる際は返済方法を明確に決めておらず、お金があるときだけ返したり、返済が滞ったりするケースもあるでしょう。しかし、客観的に返済の実態が確認できない場合は、借金ではなく全額贈与として扱われるリスクがあります。

    借金の金額が年間110万円を超えている場合、贈与税の課税対象となり得るため注意が必要です

  3. (3)生前贈与の場合は特別受益として持ち戻しの対象となる可能性がある

    親から生前に多額の借金をした場合、それが生前贈与とみなされると、相続時に「特別受益」として扱われる可能性があります。特別受益とは、相続人のうち特定の相続人だけが被相続人から生前贈与・遺贈・死因贈与など特別に受けた利益のことで、その利益分を考慮して相続分を調整する制度が特別受益の持ち戻しです。

    生前贈与が特別受益として扱われる場合は、遺産分割の際に「特別受益の持ち戻し」が行われます。

    特別受益の持ち戻しは、公平な遺産分割を図るために設けられた仕組みです。多額の借金が生前贈与としてみなされた際は、結果として相続財産の取り分を調整される場合があるため注意しましょう

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3、亡くなった親への借金は誰に返す?

亡くなった親に対する借金は、誰に返済すべきなのでしょうか? 以下では、親が死亡した場合の借金の返済先について解説していきます。

  1. (1)債権を相続した相続人に返済する

    借金をしていた親が亡くなった場合は、借金の返済先が「親本人」から「親の相続人」に変わります。親が有していた債権は、相続人に承継されるためです。

    相続人が複数いる場合、貸金債権等の金銭債権は相続分に応じて法律上当然に分割されるため、相続人全員に返済していく必要があります。

    ただし、借金をした子ども自身が相続人に含まれる場合、借金をした子どもの相続分に相当する金額は混同によって消滅します。この場合、ほかの相続人が承継した債権分のみ返済が必要です。

  2. (2)時効が成立している場合は返済義務が消滅する

    親からの借金であっても、法律上は「債務」であるため時効の適用があります。借金の時効期間は、以下のうちいずれか早い方になります。

    • 債権者が権利を行使できると知ったときから5年間行使しないとき
    • 債権者が権利を行使できるときから10年間行使しないとき


    親からお金を借りている場合は親が債権者となるため、基本的に時効期間は5年間です。親の相続人に債権が承継された場合は、5年もしくは10年の時効期間が適用されます。

    時効の成立を主張するには、「時効の援用」という手続きが必要です。また、債権者が債務者に対して裁判で請求をしたり、一部でも返済したりすると、時効は更新されリセットされます。

    時効の援用ができる状況にあるか不安な場合は、弁護士に相談して確認しましょう

4、相続問題を弁護士に相談すべき3つの理由

親からの借金を含め、相続に関する問題が発生した場合は、弁護士に相談することをおすすめします。相続問題を弁護士に相談すべき理由は、以下の3つです。

  1. (1)相続について適切な対応をアドバイスできる

    相続に関する法律は複雑で、正しく理解するのは簡単ではありません。弁護士に相談することで、立場や状況に応じた適切なアドバイスを受けることができます。

    たとえば、以下のような疑問に対して、法律や過去の判例をもとに的確な解説が可能です。

    • 親から借りたお金の返済義務は相続後どうなるのか
    • 贈与税の課税対象になるのか
    • 時効は成立しているか


    弁護士に相談することで、不安を解消して相続手続きを正しく進められるでしょう。

  2. (2)相続トラブルを回避できるような手続きを進められる

    弁護士は、相続人同士の話し合いをスムーズに進めるため、適切なサポートを行います。

    相続では、少しの誤解や感情の行き違いでトラブルが発生する可能性があります。第三者である弁護士が間に入ることで、感情的な対立を抑え、公平な解決が期待できるでしょう。

    親族間の関係性を悪化させずに相続問題を解決したい場合には、弁護士のサポートを活用するのがおすすめです

  3. (3)必要な手続きや書類の作成を代行できる

    弁護士は、相続に必要な手続きや書類の作成を代行します。

    相続では、多くの手続きや書類作成が必要です。財産調査・相続放棄や限定承認の申請・遺産分割協議書の作成など、法律知識がないと負担に感じやすいでしょう。

    弁護士であればこれらの手続きに一括で対応できるため、負担を大幅に軽減できます。また、期限や形式に関するミスも防げるため、トラブルを防止することにもつながります。

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5、まとめ

親が亡くなり相続が発生すると、基本的に親の債権は相続人に引き継がれます。

しかし、借金をしていた子ども自身が相続人である場合は、「混同」により返済義務が消滅するケースもあります。また、無利子で借りていた場合や返済の実績がない場合は贈与とみなされる可能性もあるため、税務上の注意も必要です。

親族間のお金の貸し借りの問題は複雑で、状況によって対応が異なります。トラブルに発展するおそれもあるため、迷ったときには早めに弁護士へ相談することが望ましいです。

弁護士は状況に応じた適切なアドバイスができるほか、手続きや書類作成の代行も可能です。相続問題をスムーズに解決するためにも、ぜひベリーベスト法律事務所 鹿児島オフィスの弁護士にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています