性格の不一致で離婚したい! 子どもの親権はどうなる?

2023年05月11日
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性格の不一致で離婚したい! 子どもの親権はどうなる?

鹿児島市が公表している統計資料によると、令和3年の鹿児島市内の離婚件数は905組で、前年よりも48組減少しました。離婚率(人口千対)は、1.54で、前年の離婚率1.62を下回っています。

夫婦が離婚を考える理由にはさまざまなものがありますが、その中でも代表的なものが「性格の不一致」です。元々、他人だった二人が一緒に生活するため、性格やものの考え方の違いは生じるのは当然ともいえますが、そのずれや違いが大きくなれば離婚に至るケースもあるでしょう。

性格の不一致を理由に離婚をしたい場合、どのように配偶者に合意を得るべきなのでしょうか、また親権はどうなるのでしょうか。今回は、性格の不一致を理由とする離婚と子どもの親権について、ベリーベスト法律事務所鹿児島オフィスの弁護士が解説します。

1、性格の不一致を理由に離婚することはできる?

そもそも性格の不一致を理由に離婚することはできるのでしょうか。

  1. (1)夫婦の合意があれば離婚は可能

    夫婦といっても、元々は他人同士です。一緒に生活をしていれば、価値観やものの考え方などの違いからすれ違いが生じることもあるでしょう。

    このような性格の不一致により離婚を希望する場合、まずは、夫婦の話し合いによって離婚の成立を目指します

    夫婦の話し合いによる離婚を「協議離婚」といいますが、協議離婚であれば離婚の理由は問われません。そのため、離婚の理由が性格の不一致であったとしても、お互いが離婚に合意しているのであれば離婚をすることができます。

    夫婦の話し合いによる離婚が難しい場合には、家庭裁判所に離婚調停を申立てることになります。離婚調停は裁判官や調停委員を交えますが、基本的には話し合いの手続きになるため、双方の合意が得られれば性格の不一致を理由とする離婚は可能です。

  2. (2)合意がなければ性格の不一致だけでは離婚は困難

    離婚調停でも離婚の合意ができない場合には、最終的に離婚裁判を起こして、裁判官に離婚の可否を判断してもらうことになります。

    しかし、裁判で離婚を認めてもらうためには、以下のような法定離婚事由が存在していることが必要です。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 配偶者の生死が3年以上明らかでない
    • 強度の精神病にかかり回復の見込みがない
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    「性格の不一致」は、上記の法定離婚事由のいずれにも該当しませんので、単に性格が合わないというだけでは、裁判所に離婚を認めてもらうことは困難といえます。

    ただし、性格の不一致により、長期間の別居を継続している、モラハラがある、十分な生活費を渡してもらえないなどの事情がある場合には、法定離婚事由に該当する可能性もあります。そのため、性格の不一致によって夫婦関係がどのように破綻しているのかを具体的に見極めることがポイントとなります。

2、子どもの親権はどうなるのか

夫婦に子どもがいる場合には、離婚によって子どもの親権はどうなってしまうのでしょうか。

  1. (1)子どもの親権の決め方

    夫婦に子どもがいる場合には、離婚時に父または母のどちらか一方を親権者にしなければなりません。子どもの親権者を決める場合には、以下のような方法で決定します。

    ① 夫婦の話し合い
    離婚と同様に、まずは夫婦の話し合いによって合意を目指します。

    ② 離婚調停
    夫婦の話し合いで親権者を決められない場合、離婚調停の申立てを行い、親権者をどちらにするのかを話し合っていきます。

    ③ 離婚調停でも決まらない場合
    離婚調停でも親権者が決まらない場合には、以下のいずれかの方法で親権者を決めることになります。

    • 離婚のみ調停を成立させ、親権については審判で決める
    • 離婚調停を不成立にして、調停に代わる審判
    • 離婚調停を不成立にして、離婚訴訟を提起
  2. (2)親権者を決める際の判断要素

    親権者を決める場合には、親の個人的な事情ではなく、子どもの利益を中心に考えていかなければなりません。

    家庭裁判所では、親権者を決定する際には、以下のような事情を総合考慮して判断しています。

    • 子どもの監護状況
    • 子どもに対する愛情
    • 親の心身の健全性
    • 経済力
    • 環境の継続性
    • 子どもの意思
    • 兄弟の有無
    • 監護補助者の協力の有無

3、子どもの養育費・面会交流の決め方

夫婦に子どもがいる場合には、親権のほかに、「養育費」および「面会交流」についての取り決めも必要になります。

  1. (1)養育費の決め方

    ① 夫婦の話し合い
    養育費は、まずは、夫婦の話し合いによって決めます。養育費を決める際には、金額で揉めるケースが多いため、「養育費算定表」を利用するのがおすすめです。

    養育費算定表は、裁判所が公表している資料で、子どもの人数・年齢、夫婦の収入から、養育費の金額相場を把握することができます。養育費算定表の相場をベースに話し合いをすれば、スムーズに養育費の金額を取り決めることができるでしょう。

    ② 調停(離婚調停、養育費請求調停)
    夫婦の話し合いで養育費の金額が決まらない場合には、家庭裁判所に調停の申立てを行います。

    親権とは異なり、養育費は、離婚後でも決めることができますので、離婚前であれば離婚調停において離婚条件のひとつとして話し合いをしていきますが、離婚後であれば養育費請求調停の申立てを行います。

    家庭裁判所の調停では、基本的には養育費算定表に基づいて、調停委員から養育費の金額が提示されます。

    ③ 裁判または審判
    離婚調停が不成立になった場合には、離婚裁判で養育費に関する事項を判断してもらいます。他方、養育費請求調停が不成立になった場合には、自動的に審判に移行し、裁判官が適切な養育費の金額を決定します。

  2. (2)面会交流の決め方

    ① 夫婦の話し合い
    夫婦に子どもがいる場合には、離婚後、子どもは親権者と一緒に生活することになります。

    親権を獲得できなかった非監護親は、子どもと離れて暮らさざるを得ませんので、定期的に子どもの様子を確認するためにも面会交流についての取り決めは欠かせません。

    面会交流を取り決める場合には、まずは、夫婦の話し合いによって、以下のような面会交流の具体的な条件について決めていきます。

    • 面会交流の日時
    • 面会交流の頻度
    • 面会交流の方法
    • 面会交流に関する連絡方法
    • 面会交流の実施場所


    円満に離婚ができ、離婚後もお互いに気軽に連絡を取り合えるケースは多くはありません。少しでも争いがある場合には、将来のトラブルを回避するためにも具体的な内容を取り決めておくようにしましょう。

    ② 調停
    夫婦の話し合いでは、面会交流の可否や条件が決まらない場合には、家庭裁判所に面会交流調停の申立てを行います。

    家庭裁判所では、子どもへの虐待など面会交流が不適切といえる例外的な事情がない限り、調査官による監護状況の調査や子の意向、家庭裁判所での施行面会などを踏まえて、基本的には面会交流を認める方向での調整が行われます。

    ③ 審判
    調停で面会交流の可否や条件についての合意が得られない場合には、調停は不成立となり、自動的に審判に移行します。審判では、裁判所がこれまでの一切の事情を踏まえて、面会交流の可否や条件について判断を下します。

4、離婚したいときは弁護士へ相談を

配偶者との離婚をお考えの方は、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)離婚の可否について判断してもらえる

    性格の不一致は、夫婦が離婚に至る際、もっとも多い理由です。夫婦の話し合いで離婚ができればよいですが、配偶者から拒否された場合には裁判離婚も視野に入れなければなりません。

    ただし、性格の不一致だけでは裁判離婚が可能となる法定離婚事由には該当しません。そのため、性格の不一致を離婚の理由とする場合には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚などあらゆる手段を検討していく必要があります。

    弁護士に相談をすれば、離婚に至る経緯や事情を踏まえて、裁判離婚が可能となる法定離婚事由の有無を正確に判断してもらうことができますe。

  2. (2)相手との交渉の窓口になってもらえる

    離婚をする際には、相手との話し合いが不可欠になりますが、顔を合わせて話し合いをすることが難しい場合もあります。

    弁護士に依頼すれば、相手との交渉を任せることができるため、離婚の話し合いをしなければならないというストレスから解放されるでしょう。

  3. (3)有利な条件で離婚できる可能性が高くなる

    離婚の話し合いでは、離婚をするかどうかだけでなく、慰謝料、財産分与、年金分割などの取り決めが必要になるケースもあります。

    特に、子どもがいる場合には、親権、養育費、面会交流などで揉めることも多いため、離婚問題の解決実績がある弁護士にサポートを求めるのが得策です。少しでも有利な条件になるよう、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

5、まとめ

性格の不一致は、男女ともにもっとも多い離婚原因ですが、性格の不一致だけでは裁判で離婚を認めてもらうことは困難です。性格の不一致を理由として離婚をする場合には、離婚を決めた心情や背景から法定離婚事由につながるかどうかを見極めたうえで、適切な離婚の方法を選択していくことが大切です。

性格の不一致による離婚をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 鹿児島オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています