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遺言で葬式の希望が書かれている場合は? 遺言事項や付記事項について解説

2024年04月25日
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遺言で葬式の希望が書かれている場合は? 遺言事項や付記事項について解説

鹿児島県の総人口に占める高齢者の人口比率は33.5%と、全国の29.0%を上回っています。さらに人口10万人あたりの100歳以上の高齢者の占める人口は、全国第4位と非常に高い割合となっています。

このような高齢者の増加に比例して、葬式にまつわるトラブルも増加傾向にあるのではないでしょうか。たとえば、遺言書で葬式や納骨式の方法などについて細かく指定されていた場合、どこまで遺言を守らなければならないのか、ご遺族は悩ましいところでしょう。また、もし遺言の内容に沿わなかった場合、ペナルティーなどが発生するのかも気になるところです。

この記事では、遺言書で葬式方法を指定することの可否や、葬式方法を指定したい場合の方法などについて、ベリーベスト法律事務所 鹿児島オフィスの弁護士が解説します。

1、遺言で葬式の方法を指定できるか?

遺言の記載事項は、「付記事項」と「遺言事項」の2種類に分かれます。

「付記事項」とは、故人の希望ではあるものの、法的な強制力が発生しない記載事項のことで、葬式実施の有無や寺院の指定、納骨の手順などといった具体的な葬式の方法は「付記事項」にあたります

一方、「遺言事項」とは、遺言書に記載することで法的な強制力が発生する記載事項のことを指します。どのような事項が遺言事項に該当するのかについては、民法その他の法律に規定されています(詳細は2章)。

法的な効力のない付記事項ですが、遺言の理由を説明したり、残された親族に対して感謝の気持ちやメッセージを残したりするためによく利用される事項です。

2、遺言で法的な効力がある遺言事項とは

法的な効力が発生する遺言事項に該当する項目は、主に以下の4つに分けられます。

  • 相続、財産に関連する内容
  • 身分に関連する内容
  • 遺言の執行に関連する内容
  • 上記以外の内容


以下それぞれについて、具体的に解説します。

  1. (1)相続や財産に関する遺言事項

    遺言事項の目的のひとつとして、被相続人が財産の分割方法を示すことで、残された遺族間の争いを防ぐことがあります。

    「相続や財産に関係する事項」は以下のようなものです。

    • 相続分の指定(民法第902条1項)
    • 特別受益の持戻しの免除(民法第903条3項)
    • 遺産分割の方法の指定、遺産分割の禁止(民法第908条1項)
    • 遺贈(民法第964条)
    • 相続させる旨の遺言(民法第1014条2項)
    • 信託の設定(信託法第2条2項2号、3条2号、4条2項)
  2. (2)身分に関する遺言事項

    被相続人に婚外子の子どもがいた場合、遺言事項によって認知の意思表示ができます。また子どもが未成年である場合は信頼できる後見人を指定することも可能です。

    遺言事項の「身分に関係する事項」は以下のようなものです。

    • 遺言による認知(民法第781条2項)
    • 未成年後見人や未成年後見監督人の指定(民法第839条1項、848条)
    • 推定相続人の廃除や廃除取消し(民法第893条、894条)
  3. (3)遺言の執行に関する遺言事項

    遺言事項のうち、「遺言の執行に関係する事項」は以下のようなものです。

    • 遺言執行者の指定、遺言執行者の指定の第三者への委託(民法第1006条)
  4. (4)その他の遺言事項

    上記以外のその他の遺言事項については以下のようなものがあります。

    • 祭祀を主宰すべき者の指定(民法第897条1項但書き)
    • 生命保険金の受取人の指定や変更(保険法第44条)


    上記の「祭祀を主宰すべき者」の指定とは、系譜、祭具及び墳墓といった祭祀財産や遺骨を管理し、祖先の祭祀を主宰すべき人(喪主)を指定することをいいます。

    したがって、喪主を指定することについては遺言事項に含まれるため、法的な効力が発生することになります。

3、遺言に書かれた葬式の内容を守らないとどうなる?

前述の通り、遺族の方が遺言書の葬儀に関する記載を守らなかったとしてもペナルティーはありません

遺言書は故人の葬儀が落ち着いてから発見・開封されるというケースも決して少なくありません。また、葬式は、亡くなられた方のみならず、相続人や遺族の方のために執り行われる性質の強い儀式ですので、亡くなられた方のご意向を一定程度尊重すべきであるという道義的な問題はあるにしても、法的な義務が発生するものではないのです。

なお、遺言書に葬儀を行わないよう指示があったとしても、火葬などによって埋葬せずにそのまま放置しておくと、「死体遺棄罪」という犯罪に問われてしまうおそれがあります。同罪による「遺棄」行為とは、死体をほかに移して捨て置く場合のほかに、埋葬する責任と義務がある者が、埋葬の意思なく死体を放置する場合も含むと考えられています。

死体遺棄罪が成立した場合には、「3年以下の懲役」が科されることになります。

4、遺言で葬式の方法を指定したい場合は?

  1. (1)家族と話し合っておくことが重要

    それでは、自分が亡くなったあとの葬式の方法を指定しておきたいという場合にはどのような方法を選択するべきなのでしょうか。

    前述のように、遺言書の付記事項で葬式の方法や納骨式の方法を指定していたとしても、法的な拘束力はありませんので、あくまで遺族にお願いをするという形式になります。また、エンディングノートに記載したとしても遺言と同様、法的な効力は発生しません。

    葬式や埋葬方法を自分の希望とおりに執り行ってほしいという場合には、遺言やエンディングノートに記載しておくという方法のほかに、生前に家族としっかりと話し合って葬式や納骨式の方法の希望について理解を得ておくというのが重要でしょう

  2. (2)死後事務委任契約を締結する

    さらに、葬式や納骨式の方法を指定しておきたいという場合には、「死後事務委任契約」を結んでおくという方法も有効です。

    「死後事務委任契約」とは、自分が亡くなったあとの事務について第三者に委任する契約です。
    通常、委任者が死亡すれば、委任契約も終了しますが(民法第653条第1号)、判例は、かかる死後事務委任契約を有効なものとして認めています。
    この契約によって、指定する方法での葬儀、埋葬方法の実施や、葬式の具体的な行い方、報酬の金額やその支払い方法などを契約書で約定しておくことができます

    死後事務委任契約は第三者との合意に基づく契約になりますので、誰との間で契約するべきか、どのような内容を合意しておくべきかといった事項については、相続に関する法的な知識や経験がある弁護士に相談しておくべきでしょう。

5、まとめ

遺言書に葬式や納骨式の方法が記載されていたとしても付記事項であるため法的な効力は発生しません。ただし、葬式や納骨式の方法の指定は、遺言以外にも、家族との話し合いや死後事務委任契約などによって実現することが可能です。

葬式の方法を指定したい、遺言書の作成に困っているという方、死後事務委任契約を検討されているという方は、相続問題について経験と実績のあるベリーベスト法律事務所 鹿児島オフィスの弁護士までご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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